僕が今まで見た中で子供を一番巧く制御していたのは、ニューヨーク旅行中に地下鉄で見た黒人のおばさんだと思う。3人の幼い子供を連れて歩いていたのだが、それぞれの首にヒモをくくりつけて、彼らが予想外の動きをとることを封じ込んでていた。

危険の多いブロンクスで、たくさんの子供を連れ歩くツールとしては正に白眉の創造力。

安いビニールひもを直接首に結んでいるところがちょっと愛情を疑ってしまうけど、まず間違いのない手段だと言えるだろう。

子供の方も慣れたもの。母親が「right!」と言えば右に、「left!」と言えば左に。実に統率がとれている。時々はしゃぐヤツがいても、ヒモを軽く引っ張ると首が締まっておとなしくなる。電車が激しく揺れると「sit dawn!」の一声で、全員がかかんでバランスをとる。

右。 左。 かがんで。 右。

鵜飼いっていうのも、こういう感じだったような気がする。