少しは先週の旅行の話もしておこう、って思った。します。栃木の那須に行ってきたので、その報告を。
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で、「サル劇団」である。まさか自分に、サル劇団を見に行く機会が訪れるとは思いもしなかったのだが。行けば行ったで、いろんな意味で楽しめたのであった。

まず、『どうぶつ奇想天外』でお馴染み、チンパンジーのアイちゃんがいた。催し物の演劇で、桃太郎の役を演じてた。おじいさん役の役者さん(調教師の人?)の巧みな操縦のおかげだろう、言葉での問いかけに頷いたり首振ったり。アイちゃんはソツない演技を見せていた。

が、そこはやっぱりオサルさん。何を聞いても、頷きっぱなしで止まらなくなってしまう一幕も。

「桃太郎や、このキビ団子を持っていっておくれ」
「・・・(うなずく)」
「さあ、受け取るんだ」
「・・・(うなずく)」
「早く!さあ!」
「・・・(うなずく)」
「・・・(黙り込む役者さん)」
「・・・(首をタテに振り続けるアイちゃん)」

しびれを切らした役者さんが冗談めかして、「もう、エエねん」と、アイちゃんの胸元を裏拳でツッコむ。体を二つ折りにするアイちゃん。座っていた椅子の前脚が軽く浮き上がる。

客席が一瞬退いた。


次に。 曲芸のコーナーの、「怠け者サルの○×ちゃん」が印象深かった。彼女の名前は失念したので○×ちゃんとしておく。が、ニックネームに恥じない怠け者っぷりを発揮していたので、強烈に記憶に残っている。

バク転が唯一の持ちネタらしいのだが、その素振りさえもみせない。担当のお姉さんが必死で合図を送るのだけど、ただただウロウロするばかり。補助をしようとしても、たちまちそっぽを向いて逃げてしまう。

すると。座長とおぼしき、華のない感じの中年男性が、舞台袖から現れた。

「ハイハイ、○×ちゃん。お薬あげましょうね。このお薬は効果テキメン。すぐにバック転したくなるでしょー?」

手には、黄色い布を持っている。ピカチュウの図柄のキッチン手袋。

その「お薬」を目にした途端、○×ちゃんは憑き物が落ちたかのようにバク転を始めた。見てる方が心配になるほど、すごい勢いで回転している。演技の時間が終わってもなお、制止を聞かずに回り続ける。その視線はピカチュウを捉えてはなさない。

高速回転を続けるオサルさんに、小さい子供も退いていた。 ぼくも退いた。