となりの部署の、今まであまりしゃべったことのない人と帰りが一緒になった。ひさびさに濃密な時を体験した。

途切れがちな会話。散発的に高まるテンション。そしてすぐ訪れる沈黙。気づけば、とりあえず「そっかそっか…」で間を埋めている。

「へえー、そうなんだあ……そっかそっかぁ…」

でも、相手の言葉をかみしめてるわけじゃない。お互いにつぎの話題をさがしてる。硬い笑顔。背中ににじむ汗。

ああ、今も思い出しただけでどうにかなってしまいそうだ。たまらない。新入社員なんかは今ごろきっと、毎日いたたまれない会話を交わしているんだろう。

ぼくもどっかでもう一度、新入社員としてやり直そうか。そっか係数の高い会話で、何回だってしびれてさせてほしい。