1月3日のこと。当サイトでリンクさせていただいているテーマパーク4096が主催する、うまい棒2000というイベントに飛び入りで参加させていただいた。

その趣旨については、主催者のページに譲る。その方が正確に理解できると思うので、各自で確認してください。とにもかくにも、新年早々、これ以上ないほどの無駄な時間を過ごすことできたことを主宰の法師丸さんに心から感謝させていただく次第。ちなみに、主催者のサイトでのレポート写真に映る参加者は、どちらもぼくではないですね。ふふふ。

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1月3日昼。40分遅れで会場入りしたぼくが最初に目にしたのは、どういうことかハトの餌付けに精を出している一団だった。

なぜ?の嵐。

しかし、この日用意されたうまい棒の詰まった箱を見て疑問は氷解した。輸送力の都合上、今日の処理目標は700本と設定されていたのだが、この数量、実際に見るととにかく並の量ではないのだ。

鳥類の参加を認めない法はないし、志を共にする仲間が増えるのは心強い。そんなわけで、この度はハトにも協力を申請したとの解説。至極納得のいく説明だと思った。事情を把握したところで、人間3人+ハト数十羽で挑む闘いに、僭越ながらぼくも参加させていただくことに。

いざ食べ始めると、まずはうまい棒のうまさに驚かされた。いや本当に美味しい。ぼくはジャンクフードが大好きなのでなおのこと楽しめた。味が13種類もあるから、塩味系に飽きたらチョコ系、という風にして目先を変えつつバクバクと食べ進められ、たちまち20本をたいらげることができた。

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そして数分後。ふと顔を上げると、ウワサを聞きつけたのか、ハトの大集団に囲まれている自分たち発見。なんだかハト2〜3グループぐらいが集まっている感じだ。おのおのが、鳥類特有の妙に素早い首の動きを生かして、一心不乱にうまい棒(をフレーク状にしたモノ)をついばんでいる。だいぶぼくたちに慣れたのか、或るハトなどは主宰者の膝の上にとまってうまい棒を要求している。

ディズニー映画などでよく、主人公の周りに森の動物達が集まってくるシーンを見かける。「唄を歌う白雪姫の肩に森の小リス」みたいな。その時にぼくが見た光景もそれに似ていると言えなくもない。だけど、どこかが決定的に間違っていると感じた。見渡す限り、無心でエサをついばむハト、ハト、ハト。

ディズニーというよりはヒッチコックの風味。

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そう言っている間にも時間は経ち、ぼくらの行動に興味をもった公園の児童たちも徐々に会にエントリーするようになってきた。彼らは子供ならではの機動力で、より広い範囲に分布していた群をもぼくたちの元に誘導し集結させ、効率よい供給活動に貢献してくれたと思う。しかしその頃からだろうか。ハト以外のモノの姿も目立つようになってきた。濃厚に立ちこめるうまい棒の臭いを察知したのか、先程まで見なかった、カラスの姿までチラホラ混ざるようになっている。あまりのハトの数に気圧されているのか、ぼくたちのそばにまでは寄ってこなかったけど。

そりゃそうだ。ぼくらはその時、4〜50匹のハトに囲まれていたのだから。

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開始時刻から2時間半ほど経ったころ。

ハトの飽くなき食欲にも助けられて、とうとううまい棒700本を無事、完食できた。ぼくの成績は35本。中には60本を平らげた人もいて、その人には遠く及ばなかったものの、まあ自分なりにやることはやったという達成感は感じることが出来た。

しかしこうやっていざ成し遂げてみると改めて、「だから何なんだ」という想いが去来する。

なんて意義の感じられない時間を過ごしたんだろう、という充足感。こんな無駄な場を設けていただいた主催者の法師丸さんには、この場を借りて改めて感謝の意を述べさせていただきたい。

とにもかくにも、祭りはこうして第一の幕を閉じた。冬の淡い日差しが傾く中、会場の撤収の撤収を終えたぼくが、胸一杯に新宿の空気を吸い込みながら空を仰ぎ見るとそこには。

寒さに痩せ細った枯れ木の間から、無数のカラスたちが音もなくぼくらを見つめていた。

(完)

後日談。

その日は、20本のうまい棒をおみやげにいただいて帰った。で、寝る前までに20本全て平らげてしまったのには、我ながら驚かされる。

第2回大会の開催に向けて、ますます意気軒昂なぼく。