揺れる映像が苦手だ。ブレアウィッチプロジェクトとか岩井俊二の作品とか、画面がグラグラするタイプの映画を見るとすぐに酔ってしまう。先日、とある映画の試写会に行ってきたのだが、やはりちょっと酔ってしまった。おかげで作品の内容をほとんど把握できていない。

クライマックスに豪快なアクションシーンがあったことだけは断片的に覚えてる。斬新なカメラワークがずいぶんと印象的だった。おかげで客席はもう、アドレナリンが逆流するような興奮で画面に釘づけだったようだ。しかし、その時ぼくはトイレに釘づけで、胃液を逆流させていた。

上映が終わると、劇場出口ではCM用のテレビカメラが観客の感想コメントを収録していた。あの手のCMを見ていつも思っていたのだが、皆、感動したにしては表現があまりにも淡泊ではないだろうか。皆、まるで口裏を合わせたかのように「ちょー泣けましたぁ」とか「涙が止まらなかったぁ」とか言うのだ。

私は、自分なりの分泌物で感性の多様なあり方を提示していきたい。