以前、雑誌で、メーカーの行っているパソコンの耐久実験の取材記事を見た。そういう記事を読むと、メーカーの開発部というものが実に色々な条件を想定して実験していることがわかって楽しい。

例えば。
耐衝撃性を調べるために「どのぐらいの高さから落としたら壊れるか?」とか、耐圧性を調べるために「万力でどの程度締めつけられるか?」等の実験を行っているそうだ。

また、持ち運びの際の安全性を確認するために、実際にリュックにノートPCを詰めて早朝の通勤ラッシュに揉まれてみたりするらしい。あるいは、防水性をみるために鞄にノートPCを詰めて雨の街を歩き回ることもあるそうだ。

最後の例だけはあまり意味がないような気がするが、実にいろいろな品質検査を経て商品が市場に送り出されている、その仕組みの一端が垣間見えて興味深い。滑稽にさえ思えるほど様々な使用条件を想定しているのも、きっと製造者としての責任感の表れだなんだろう。その心意気や、良しである。

しかしだからこそ、ぼくはメーカー側のツメの甘さが残念でならない。

もし彼らが
「家に遊びに来ていた友達が泥酔し、パソコンデスクとトイレを勘違いして放尿。そしてそこにはノートPCが」
というシチューションもテストしてくれていたら!

そうしたら、このサイトの更新にこんな間が空くことはなかったのに。


今日は喫茶店で、最近の日記ネタを凝縮させたような事態を体験。

  • 注文をしようと手を挙げたところ、ヒジで水のグラスを倒してしまった。水と氷を床にぶちまけた。
  • 動転して慌てて立ちあがったところ、勢い余って後席の人にヒジ鉄を見舞った。

なんだか大騒ぎになってしまいました。

店の人が手伝ってくれたものの、それを指くわえて見てるのも悪いので、テーブルの下に潜ったりして拭き掃除を手伝った。やがて、なんとかひと通り片づいたので、シドロモドロで立ち上がろうとしたんですが

  • そこはテーブルの下から出きっていない状態。したたかに頭を打ちつけた。
  • 大きく揺れたお陰で、テーブルの上で倒れていたグラスが、改めてゆっくり落下していった。
  • 振り出しに戻る。

というワケで、「テンション調節レバー」が作動したかのようになってしまいました。状況が違うのは、それをたった独りで繰り広げていたところ。言い訳もできず、フォローも得られず。なんだかとっても心細かったです。

そんな中、離れた席の若者たちが「トムとジェリーか?」と的確なツッコミを入れてくれたのが唯一の救い。ぼくの耳にもキッチリ届いていたのでこの場を借りてお礼を言っとこうと思います。どうもありがとう、ばか学生。

彼らには足を向けて眠れないぐらい感謝の気持ちで一杯だけど、どこに住んでるのかわからないので、とりあえず今夜は立って寝ます。


「痛み分けに持ち込む」という処世術について考えている。

なにかヘマをやらかして人様に迷惑をかけてしまったときなどに、自分も同時に被害を被っておくと、厳しい糾弾を逃れられることがある。

例えば誰かと食事をしていて、汁ハネしたものが相手の衣服に飛び散ってしまったとしよう。

ここは通常、「ああっ、このシャツ高かったんだよ!」などと不快感を露わにされる場面である。しかし、相手が憤ってぼくを睨んだとき、ぼくの服にも汁がベッタリと付着していたらどうだ。相手の怒りもかなり萎えるんではないだろうか。

「同じ苦痛を共有しているという、ある種の仲間意識」と「既に十分打ちのめされている人を改めて責め立てることに対する後ろめたさ」が、人の怒りを鈍らせるのである。

さらにここで、それこそ全身が汁にまみれていたりすれば、相手の気勢はさらに削がれることだろう。併せてヤケドなども負ってみれば効果はさらに上がるに違いない。恐らく、従来なら弁償金(クリーニング代)として3000円取られるところも1000円程度にまでディスカウントできるはずだ。そうしたらもうシメたもの。浮いた2000円をやけどの治療費にまわせば良いわけである。さあ、レッツ大やけど。

いかがだろう。「痛み分けに持ち込む」という処世術が、実に使い勝手のいい立ち振る舞いなのがお分かりいただけただろうか。

もうひとつ実例を示そう。

先週末の夜中2時頃、たいした用事もなくヒマつぶしに知人宅へ電話をかけた。ずいぶん長い間コールして、ようやく相手が電話に出た。と思ったら、彼はものすごい寝ボケ声ではないか。「…も゛じも゛じ……」

こういう時って、なんだか妙にアセる。
「あれ?もう寝てた?」
「あ゛〜 あした…しごとで あさ はやいから…もう、ねてたけど……」

なんだかとても申し訳ない気分になってしまった。いくら彼が夜型の人間とはいえ、やはり夜中の2時に電話をかけるのが非常識なのだ。しかも彼は朦朧としててなんだかツラそう。絞るようにして「あ゛〜」だの「う゛〜」だの言っている。このままでは後々、叱らること間違いなさそうだ。

窮したぼくは、咄嗟に「ああ…そう…… じ、実はぼくも寝てたんだ。では。」と言って慌てて電話を切ったのであった。

たぶん痛み分けが効いたのでしょう。その後、まったく音信ありません。


回転寿司屋に行くと、カウンター裏に必ず「テンション調整レバー」というのがあるのに気づく。ベルトコンベア付近についているアレだ。一度、あれを操作してみたいと思っている。

レバーを下げる。途端に照明がぐんと暗くなる。職人が何万匹もの魚を殺めてきた半生を涙まじりに独白し、厨房からもすすり泣く声が漏れる。店の隅には、アイスの棒に《きんぎょのおはか》と書いた墓標を立てる子供たちの小さな背中。

レバーを上げる。カクテルライトがはじけ、店内を嬌声が包む。回る寿司に電飾が施され、エレクトリカルパレードのテーマが ON AIRサヨリ筋子などの注文に対し、吉永小百合峰不二子のモノマネでボケ倒す親方。と、そこへ店員がすかさず巨大しゃもじでつっこむ。揺れる客席。万雷の拍手。

事務室にいる店長はきっと、ただならぬ店の雰囲気を知って激昂することだろう。そして青塗りの山羊がスタンバってるのに気づいた時に、とうとう彼の中で何かが音を立ててキレるのだ。
「貴様!何を勝手にやっとるか!」
嬉々としてレバーを操作するぼくを見つけ、修羅の形相で事務室を飛び出す店長。

しかし店内に一歩立ち入った瞬間、さっそくバナナの皮を踏んだりはじめる。


あーあ。

詳しくは書きませんが、新年早々いろいろあってこの3ケ日は散々な3日間でした。ぼくは鈍感なので大抵のことは平気なんだけど、今度ばかりは酷い目に遭いました。いや本当に参った。

今年、これ程に悲惨だった日は他にありません。

= = =

今までもちょこちょこ触れているが、昔、サッカー部に所属していたりロックバンドをやったりしていたことがある。

先日そういうようなことをある人に話していたところ、「それにしてはモテないよねえ」などと余計な言われてしまった。それほど知った仲でもないのに、こう見事に核心を突かれると何だか癪である。

ストリート系のダンスをしているという彼に言わせると、サッカーやロックなど、時代遅れなことをやっているからダメなのだそうだ。曰く、「これからはロックの時代じゃないです。バンドなんかじゃなく、もっと最先端を行きましょうよ。DJやダンスやれば絶対にモテますよ」とのこと。

ここで個人の趣味を持ちだしてくるのもオカシイと思うし、今さらダンスが最先端なのかという疑問もあるのですが如何なものなんでしょう? 第一、ぼくが女性に縁がないのはまったく別の要因〜性格や容姿、に若干の難点を抱えているからである。さらに付け加えるなら、頭脳や地位、収入、ファッション、長男であること、貧困な会話センス、体臭、鼻毛等も関係しているだろう。
あと、ネットで日記を書いていることとか。
要するに、問題はもっと根本的なところにあるのを彼は分かっていないのだ!

……なんだか哀しくなってまいりました。

今までは「モテる」ことに関して大して関心もなかったのですが、言われっぱなしでいるのも何だか悔しいので、ここはお正月らしく、「上記の短所を全て克服すること」を今年一年の目標として宣言してみようと思います。

しかし、すべてを一挙に解決しようとすると「どっちつかず」になってしまう恐れもあるので、まずは一つずつ順番に、地道に取り組んでいくことにしよう。最初の課題は「長男」から。

「立てた課題を三日坊主ですぐ忘れる」という短所もいま思い出したんですが、これ以上の課題設定は無理があるので、これはまた来年。


年末のせいか電車の中がすごいことになっている。全体的にすっぱい匂いが漂っていて、みんな朦朧と吊革にぶら下がっていたり、床にへたりこんでいたり。

あるいは、周りを一切気せずにディープな接吻を交わしているカップルもいる。

彼らの背後には、背筋をピンと伸ばした初老のサラリーマンがひとり。瞼を閉じて座席に座っている。眉間にシワを寄せて難しい顔をしている。何か注意するのか?怒れ。怒れ。

……あ。口を開いたぞ。と思ったら、直立姿勢のそのままで、ゆっくり音もなくゲロを吐き始めた。

「車内で濃厚なことになっているカップル」
「その背後で何か吐き出している男」。ドローリ。

なんか日本じゃないみたいだった。悪い夢みたいな光景だった。

そのサラリーマンは風呂場のライオンみたいだった。

= = =

映像としてなかなかに衝撃的だったので、今日はこの目で見たそのままをこの場に書き綴ってみました(車内で携帯にて更新)。ぼくとしては、大のオトナが情けなくないのか!という問題提起をしたかったのですが如何でしたか?皆さんにも伝わるモノがありましたか?

そんな手抜き文章で一体何が伝わるものか!とのお叱りもあるかもしれませんが、ぼくも現在吐いたりしてて大変なのでどうか勘弁してください。


今日は12月25日、クリスマスである。いい歳をしたひげづらの男が、年甲斐なく派手な赤い服をまとって他人のくつ下をまさぐったりしつつ終夜徘徊を続ける日。これのどこがロマンチックなものか。

= = =

クリスマスは俗に聖夜とも呼ばれている。聖夜。

セイヤ セイヤ セイヤッ セイヤッ

幾つの頃からだろう。ぼくの頭の中でサンタはいつだって神輿に乗ってやって来る。それを担ぐのは、汗にまみれた裸ふんどしの男。

これでロマンチックでなんかいられるものか。